
口臭を気にする人の中には、「舌苔(ぜったい)」を気にする方がいます。口臭が気になる時、「舌に不快感」を持つ人もいます。
舌は、口の中で大きな体積と表面積を持っています。
また、その表面には多くの味覚細胞、味覚や触覚を感知する感覚細胞があります。
そのため、ほとんどの方が口臭の原因が舌や舌苔にあると誤解されやすいのです。
ここでは、本当に舌が口臭に大きく関係しているのか調べてみました。
口臭の原因は舌そのものより、舌表面の唾液層にあった!
口臭がある時に舌を磨いて舌苔などを取り除きますが、この舌苔が臭いの本質ではありません。
口臭の原因は、舌の表面の唾液層から臭気が発生しているからです。
ですから、唾液の質を変えない限り、舌の表面を掃除しても一時的にすぎず、次に同じ性質の唾液が来れば再び同じことが起こります。
口臭が起こりにくい正常な舌

舌の色は、薄いピンク色で、舌の中央部に白い薄い舌苔(ぜったい)状のものがあります。
これは、口臭を引き起こすような舌苔ではありません。
舌の表面には、細かい糸状の糸状乳頭(しじょうにゅうとう)と呼ばれる乳頭があります。
舌の表面には、細くて角質化した先端を持つ白い舌乳頭(ぜつにゅうとう)が舌の上面の全体に存在し、肉眼で舌を見た時に薄く白い毛のように見えます。
これが乾燥すると、より白く毛羽立ってザラザラしてきます。この糸状乳頭は、歯ブラシなどでゴシゴシこすると簡単にはがれて、粘膜が荒れた状態になります。
この状態は口腔内が乾燥しやすく、口臭が起こりやすくなります。
舌を磨きたいときは、タングススクレーパーなどの舌磨き専用の清掃グッズを使う方が良いです。
口臭を起こしやすい舌の状態とは

歯科や耳鼻科などの関係で起こる病的舌苔の関係ではなく、健康的な人にも時々起る生理的口臭とはどのようなものでしょう。
口腔内が乾燥すると、全体的に白くパサついたようになります。これは、起床直後によく起こる症状です。
起床時などは、この状態になっているため、歯ブラシなどでゴシゴシ磨くと糸状乳頭は損傷しやすく、口腔内乾燥や味覚異常を来す可能性があります。
乾燥状態が続く状態が「ドライマウス」(口腔内の乾燥)です。ドライマウスの状態は、唾液が少なく口臭が起こりやすくなる状態です。
水の定期的な摂取や舌の動きを活発にして、唾液の分泌を意識的に促進することが重要です。
またヒアルロン酸などを配合した保湿用の口腔ケア製品は、歯科で買い求めることができるので、ドライマウス対策には有効です。
口臭は、ロ呼吸などによるロの中の乾燥が原因
口臭を引き起こす最大の原因は、口腔内の環境を維持する唾液の欠乏です。唾液が不足すること、すなわち、口の中の乾燥です。
この乾燥状態を作り出すのが口呼吸です。
人は会話中はロ呼吸ですが、会話していない時にロ呼吸の習慣がある人は、口臭のリスクが高くなるだけではなく歯周病や喉の疾患、アレルギーなどのリスクが高まります。
唾液の流れができれば、口腔内の乾燥が無くなります
唾液の流れが自動的に維持できるようになれば、唾液の停滞の結果として起こる「ネバネバ」した感じや「カラカラ」した感じ、また「酸っぱい」「苦い」などの不快な味覚を感じることは無くなっていきます。
口臭の主な原因のまとめ。

唾液の分泌の減少
口の中は、分泌する唾液の殺菌力で雑菌の増殖が抑えられ、口臭が起こらないようになっています。
唾液に含まれるリゾチームという酵素が細菌を破壊するからです。
つまり、唾液の分泌が低下すれば、口の中の自浄作用が弱まり、口臭が発生することになります。
朝起きた時は、誰でも口が臭いますよね。これは眠っている間、唾液の分泌が少なくなり、口の中で雑菌が増えるためです。
ほかにも、口が渇いたり、空腹時、ストレスにさらされたときにも、唾液の分泌が減るので、口臭が発生しやすくなります。
歯垢や歯石の影響
また、口の中の歯垢や歯石もにおいの原因になります。歯垢は口の中の食べカスをエサにして増殖した細菌のかたまりです。
歯垢が唾液に含まれるカルシウムを吸着すると、約2日で石灰化し、歯石になってしまのです。
もちろん虫歯や歯肉炎も口臭の原因です。
歯の被せ物やブリッジ、義歯も、きれいにしていないと口臭の原因となります。
舌苔(ぜったい)の影響
また、舌の表面にある白いコケのような舌苔(ぜつたい)が多くなると、口臭も発生しやすくなります。
もともと多少の舌苔は、誰にでももあり、口腔内の細菌バランスを保つのに役立つと考えられています。
胃腸の機能低下などが舌苔を増やす原因の1つですが、気になる人は、週に1度を目安に、専用の舌クリーナーなどできれいにするといいでしょう。
ただし、強くこすり過ぎて、味蕾(みらい)の細胞が破壊されて、味覚障害にならないように注意して下さい。
病気による口臭
口の中だけでなく、その奥の胃腸の病気が口臭を発生させる場合もあります。
消化器の炎症で、消化不良を起こしたり、腸内の細菌バランスが崩れて、においを発生させます。
肝臓の疾患も、体内のにおい物質を分解できずに、口臭を発生させる原因となります。
糖尿病になると、唾液の分泌が低下し、またケトン体という甘酸っぱいにおい物質が全身に回って口臭や体臭になります。
気管支炎、肺炎といった呼吸器系の病気、蓄膿症、アレルギー性鼻炎、扁桃腺炎といった鼻や咽喉の病気も、口臭を発生させる原因となります。
食生活の乱れ、アルコールやタバコも口臭の大きな原因となります。
においの分類は数種類があります。
・においを分類すると古代ギリシアの哲学者アリストテレス(BC384~BC322)は、においを次の6つに分類しています。
①甘い臭い
②酸っぱい刺激的な臭い
③豊かな臭い
④青みがかった臭い
⑤鋭く辛い臭い
⑥かび臭い不快な吐き気を催す臭い
・スウェーデンの植物学者・博物学者だったカールフオン・リンネ(1707~1778)は、においを7つに分類しました。
①芳香臭(月桂冠や熟した果実などの臭い)
②龍郁臭(百合やバラ、沈丁花(ちんちょうげ)など、香りのよい花の臭い)
③ジヤコウ臭(ジャコウ(癖香)に代表される高貴な香り)
④ニラ臭(ネギニラ、ニンニクなどの鼻をつく臭い)
⑤尿臭(尿の臭いや山羊、狐、狸などの臭い)
⑥悪臭(誰にも不快感を与える臭い)
⑦腐臭(腐った肉のように吐き気を催すような臭い)
・日本では、江戸時代中期、「養生訓」で知られる本草学者の貝原益軒(かいばらえきけん)(1630~1714)は、次の5種類に臭いを分けています。
①香(こうばし)
②臭(くさし)
③焦(こがれくさし)
④腥(なまぐさし)
⑤朽腐(くちくさし)
このように、臭いを分類し、科学する方法は、まだ現在でも確立されていない状態です。
それは嗅覚が味覚と共に、動物にとって最も原始的な感覚だからです。
また、臭いを客観的な数字に置き換えることも難しいからなのです。

