食のプロフェッショナルは、生鮮食料品の状態をにおいで判断することが可能です。

しかし、においによる判断は素人ではできません。
プロの販売業者や調理師の中には、経験則で状態を判断できる方がいるようです。
例えば、次のようなにおいをプロの精肉販売業者はある程度判断出来るようです。
①熟成臭
発酵食品のにおいに似た香ばしいようなにおい
②チルド臭
長期にわたって保存したり、保存状態が悪いと酸っぱいようなにおいを発する。
③グリス臭
草ばかり与えられた牛は、ほのかに草のにおいがする。
検定制度の中に、においで鮮度を判断するという項目があるわけではありません。
特に生鮮食料品の中でも熟成期間を置く肉の場合、まだ骨がついたままの肉の塊の熟成具合をにおいで判断し、出荷時期を見分けるようです。
ただし、においはあくまでも判断材料の1つで、色や水分保有状態や触感などもあわせての判断となります。
ほかにも魚や卵などを販売や調理現場で取り扱う人達には、これらからにおう腐敗臭で判断する人もいますが、そのほかに目で得た情報もあわせて判断しています。
もとより食品には、消費期限表示が義務付けられていますので、においだけで判断するということはないでしょう。
人間の嗅覚による食品の判断

しかし、昔の主婦の鼻は、食品の状態を判断していたのではないかと推測できます。
冷蔵庫がまだ普及していなかった昭和初期では、買った日付と自分の鼻でにおいで嗅いで、食べられるかどうか判断していました。
現代のように保存料などが、まだ多くなかった時代です。
腐りやすいものは早く食べる、買い置きはしない、こまめに必要な分だけを買う、旬のものを食べる、などの方法で凌いでいました。
この鼻の感覚が鈍ると、夏場は家族で食中毒になってしまいます。
一家の主婦は、責任重大でした。
東京都庁には、昭和24年から現在までの食中毒についての発生件数と患者数の統計データがあります。
これで見ると統計が取られ始めた昭和24~50年頃まででは、発生件数、患者数が供に高く、平成に入ると、そのほぼ3分の1程度に減少しています。
また、死亡者数で見ると、明らかに激減しているのがわかります。
しかし、冷蔵庫の普及率との相関、保存料などの加工食品の市場流通の影響は、ここでははっきりとは見られません。
よって昭和の主婦が嗅覚で食品の危険を察知していたと、このデータでは言い切れません。
また、食中毒菌がついたからといって特別なにおいを発するわけではないので、においで食中毒を予防するということはできないことになります。
食のプロフェッショナルは、鼻が敏感です!

冷蔵庫がまだ普及していなかった、当時の死亡率が高い理由がわかりません。
それと同統計は、外来を訪れた患者で、医師の判断による届け出を元に構成されていることもあります。
病院に行っていない潜在患者数が、今よりも昭和の頃は多かったことではないでしょうか?
そして、スーパーマーケットができる以前は、食品には消費期限の義務表示などはまだ制度として存在しません。
八百屋さんや魚屋さんが、その日仕入れたものをその日のうちに売りさばいていました。
それらの食品は、現在のように発砲スチロールのパックに入り、賞味期限のシール表示はありません。
「お肉○グラム下さい。」の量り売りです。
生鮮食料は、その日のうちに食べ切っていれば、問題はないのです。
人間の嗅覚や経験に基づく判断

いろいろな状況と合わせて考えると、食品の消費期限の表示が無く、防腐剤や保存料を使用した食品が少なくて、冷蔵貯蔵が今より困難だった時代を過ごしていた方々は、もしかしたら生鮮食料品や加工済み食品の腐敗臭を敏感に嗅ぎ分けていたのではないかと推測できます。
嗅覚ともちろん、変色度合いやドリップなども目で見て、判断材料としていたのではないでしょうか。
当時の科学的データが残っていないのは残念ですが、近いのが現在の中国など近隣のアジア諸国です。
これらの地域での聞き込み調査、官能テストをすることで、人の嗅覚が発揮されることが裏付け調査ができるかもしれません。
温度や湿度は違いますが、その条件ができるだけ近い状況の国を選択して、原始的な状況の嗅覚調査の実施が望まれます。
ただし、対象国の人々の胃腸が日本人と比較して丈夫だったとか、寄生虫など不衛生の環境にも強いとか、そういう外的環境が影響しにような配慮が必要ですね。

